床屋の冥府2007/06/07

形を整えているのだか知らないが、細かく鋏を動かしながら、
いつまで切っているつもりなのか、その床屋の仕事は馬鹿に丁寧だった。

眼を瞑ったまま、ただじっと終わるのを待つうちに
眠気のせいでもあるのか、時間の感覚がおかしくなった。

会社の帰りに寄った筈だが、今が夜だったか、昼だったか、
平日だったか休みだったかが次第に判然としなくなってきた。

いつかは鋏が止まり、頭を洗う段取りに進む筈だというのは
頭では判っていたものの、何かの迷いで、ここからいつまでも
抜け出せないものも稀にはあるような気がして怖くなった。